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子牛の突球治療

はじめに

子牛の突球(ナックルと呼ばれることもあります)は前肢の蹄の上の関節が曲がったままとなる先天的な病気で、複数の関節に見られることも多くあります。
正式名称は「先天性屈腱短縮症」といいます(写真1)

(写真1)突球モデル

 
原因は遺伝的な要因や子宮内での姿勢異常とされています。
治療としては、筋弛緩剤の内服やギプス固定がありますが、今回は手術を実施した症例の紹介をいたします。
 

症例報告

今回の症例は、両前肢が屈曲し、人力で伸ばそうとしても全く伸びない状態でした。一週間程度、筋弛緩薬(ロバキシン)を内服させながら様子を見ましたが、症状は変わりませんでした。
通常はギプスを巻いて強制的に屈腱を伸ばし固定しますが、今回は全く伸びないという事で、生後10日目に屈腱切断手術を行いました。
 

手術

中手骨の後ろ側を5cm程度切開し、浅指屈腱を露出させ切断します(写真2)。

(写真2)両前肢切断術

 
両前肢切断術終了後、真っ直ぐになりました(写真3)

(写真3)手術直後

 

手術翌日

手術の翌日に自力起立するが、再びナックルになりました(写真4)。

(写真4)手術翌日

 
両前肢球節で着地しています。副木を付け固定してみました。
 

術後1週間

1週間経過すると次第に起立できなくなってしまいました。介助して起立させてもすぐに崩屈します。
両前肢ギプス固定に加えて蹄低に接着剤で板を付けて整復を試みます(写真5・6)。

(写真5)板整復①

 

(写真6)板整復②

 

術後2週間

今度は左前肢のギプスが食い込み、負重不能になってしまいました。
痛みの原因と思われる左前肢のギプスを除去します。
 

術後約1カ月(生後約40日)

両前肢は負重良好、ナックルもなくなりました。
ほぼ正常に歩行できるようになり、ついに治癒となりました(写真7・8)

(写真7)

(写真8)

 
こうして紆余曲折ありましたが、約40日かけて治癒にいたりました。
担当獣医師に聞くと、晴れた日は畜主が散歩に連れ出してリハビリに努めていたそうです。
獣医師の「何とかして治す!」という強い気持ちと、畜主の「治したい気持ち」が一致して、治癒に結び付いた症例でした。
 

まとめ

突球の治療には、ストレッチ、筋弛緩剤内服、ギプス(副木)装着、手術等があり、それぞれ獣医師が症状や状況に応じて最適な方法を選択して行っています。
治療に際しては最寄りの直営診療所獣医師とよく相談のうえ進めてください。
 
今回の技術情報は、宗谷支所内のブログ(https://umibenokum.exblog.jp)の記事を基に再構成しました。
(記事提供:宗谷支所長、宗谷南部家畜診療所金枝獣医師)

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