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家畜技術情報

股関節脱臼

・死廃事故につながりやすい疾病

平成26年度宗谷地区NOSAIで発生した死廃事故で二番目に多いのが脱臼によるものです。股関節脱臼はその中でも比較的発生件数が多い脱臼になります。牛の股関節は浅く、大腿骨側も小さい構造になっているため、大きな力が加わると外れやすくなっています。体重の重い牛などの大動物ではもがき動作による股関節周囲の筋肉や神経の損傷が大きく予後は悪く死廃事故につながりやすくなります。

 

・股関節脱臼の診断

股関節脱臼の多くは片側に発生するので、健康な股関節との比較が診断に重要になってきます。脱臼した側は①足先が外を向く②腰骨、大腿骨の付け根、おしりの骨の三角形が歪な形になる③腰の部分が腫れるといった特徴が見られます。また起立不能の場合これらの特徴が特にわからなくなるため吊起することで分かりやすくなります。座っている時には脱臼側を上にして座り、脚を屈曲できず棒状に伸ばします。また膝の皮膚には正常では見られないようなヒダが見られることがあります。

先ほども言ったように予後はあまりよくない股関節脱臼ですが、亜脱臼(症状が軽度で筋肉、神経の損傷が少ない)であり早期発見ができれば抗炎症剤や湿布剤の投与により回復していく牛も少なからず居ます。

 

・股関節脱臼の予防

予後の良くない股関節脱臼はそもそも発生させないことがこの疾病との最も上手な付き合い方です。股関節脱臼の発生原因としては滑走・転倒によることがほとんどです。後ろ足が大きく外に開いた場合、また極端に前方への力が加わった場合に股関節には大きな力が加わり脱臼につながります。滑走・転倒が起きてしまう要因を未然に防いで行くことが重要になってきます。いくつか例を挙げていくと。

・滑りやすい通路、枠場には藁や石灰を撒く

・牛群の密度、産次構成の見直し

・無理に牛を追立てたりしない

・起立困難になりやすいような周産期疾患(低カルシウム血症や神経麻痺)の早期治療

・発情同期化の管理(発情が強く出ることがあるので乗駕行動に注意)

・これら滑走・転倒リスクの高い牛に足枷(スプリットガード)を装着する

 

股関節脱臼が頻発していると思ったら今一度原因を洗い出すことで、その牛群の発生リスクを認識することができ予防に役立てることが出来ると思います。

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